4.日常生活で注意すべきことは?

活動性を高めるための工夫

(2)出血を早く吸収させるためのポイント

   日常生活上やスポーツなどによって生じる筋肉内出血や関節内出血に対しては、補充療法を行います。また、出血によってその部位の腫れ、痛み、熱感、発赤などの症状が出現しますが、これらの症状の持続は、筋力の低下、関節可動域の制限などの合併症を引き起こす原因となります。そのために、補充療法とともに安静・冷却・挙上などの手段を用いてできるだけ早く止血を図り、漏出した血液を吸収させることが重要となってきます。

 

1.冷却(アイシング)

   出血時には痛みや熱を生じますが、出血部位を氷などを用いて冷やすことで痛みを和らげることができます。これは冷却により痛覚刺激を送る神経の伝導速度を遅らせることで鎮痛効果を得ることができます。また、血管を収縮させ小さな出血を軽減させる作用もあるといわれています。冷却には、氷嚢、アイスパック(市販されている)やビニール袋に氷を入れたものを出血部位に当てるようにします(図4、5、6)。

 

   冷却する時間は皮膚を触って感覚がなくならない程度で、10分間ぐらいを2時間おきに熱感の左右差がなくなるまで続けることを目安にするとよいでしょう。もし、感覚がなくなったら直ちに中止します。あまり長く冷やしすぎて凍傷を起こさないように注意しましょう。凍傷を防ぐために、直接皮膚を冷やさないで、ガーゼやタオルなどの上から冷やすとよいでしょう。

 

図4 アイスパックによる冷却

図4 アイスパックによる冷却

図5 氷嚢による冷却

 

図5 氷嚢による冷却

図6 各種の冷却媒体

図6 各種の冷却媒体

2.挙上の仕方

   挙上は患部を心臓よりも高く上げて、血液の戻り(静脈還流)をよくすることで主に浮腫の軽減を図ることを目的としています。足首や膝の関節の出血の場合、寝た状態で足を10cm程度上げるとよいでしょう。また、足首や膝の下に枕やバスタオルなどを敷いて、楽な姿勢をとることも必要です。肘関節の出血の場合は、腕を胸の上に乗せたり、肘の下に大きめの枕などを敷いて、心臓よりも高い位置になるように心掛けましょう。