(1)関節を動かす運動(関節可動域訓練)
2.どのような運動があるのですか?
日常生活の上で関わってくる主な関節には図3のようなものがあり、各々の関節の動く範囲のことを関節可動域といいます。関節を動かす運動を行う時には運動の種類に気をつけて行う必要があります。出血後間もない時期や動きの悪くなった関節に対して急激に、あるいは無理やりに力一杯動かすことは非常に危険です。
図3 主な関節
関節運動には、痛みのない範囲で自分の力で動かす運動(自動運動)、反対側の手や器具の助力による運動(自動介助運動)、伸張運動(ストレッチング)などがあります。自動運動は関節可動域を維持するために、自動介助運動は力が弱い部位を動かすため、あるいは少し矯正を加えるため、ストレッチングは可動域の増大を図るために行いますが、強い力による急速な関節のストレッチ(伸張)は筋肉内出血や関節内出血を引き起こす危険性があるために避けなければなりません。
1 下肢の運動
● 膝関節の運動
膝の制限、特に膝が十分に曲がらないと日常生活の中で大きな障害を来します。座ったり、立ち上がったり、階段の上り下りや歩いたりなどの移動動作に不自由を生じます。そうならないためには膝の曲げ伸ばし(屈伸運動)を十分に行う必要があります。
座ったままでできる膝の曲げ伸ばし運動
- 床やベッドの上で足を投げ出して座ります。
- かかとを滑らしながらゆっくりと膝の曲げ伸ばしの運動を行います。
ポイント
動かす範囲は130°が目標ですが、痛みのない範囲内で、できるだけ大きく動かすようにしましょう。
かかとが滑りにくい時には、靴下をはいたり、タオルをかかとの下に敷くと、容易に膝の屈伸運動ができます。
膝を支える筋肉のストレッチング
膝を支える筋肉の一つで膝の後ろにある筋肉のストレッチです。この筋肉が伸びにくいと膝が曲がってしまって、日常生活に色々な障害を起こします。
- 片方の膝を曲げ、もう一方は伸ばしたままにします。
- 曲げたほうの足を外側へ倒し、伸ばしたほうの足のつま先に両手をつけるように身体を伸ばします。
- 左右の足を替えて、同じようにしっかりと膝の後ろの筋肉を伸ばしましょう。
ポイント
伸ばした足の膝の後ろが曲がらないよう気をつけましょう。